"Stunning and Brave" | "Where My Country Gone?" | "The City Part of Town" |
"Where My Country Gone?" | |||||||
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話数 | シーズン19 エピソード2 | ||||||
邦題 | 俺の祖国はどこへ行った? | ||||||
制作番号 | 1902 | ||||||
初放送日 | 2015年9月23日 | ||||||
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エピソード一覧 |
"Where My Country Gone?"はシーズン19の第2話、シリーズ通算で259話目にあたるサウスパークのエピソードである。2015年9月23日に放送された[1]。
あらすじ[]
在留許可証を持たない外国人を自国から閉めだすために、ギャリソンは国境に壁を建設する案を思いつく[1]。
脚本[]
カイルがケイトリン・ジェンナーを渋々認めたことでオバマ大統領から表彰される一方で、在留資格を持たないカナダ人がアメリカ合衆国に大挙して入国してきたため、ギャリソン先生は動揺を隠せなかった。自身が受け持つクラスにこぞって転校してきたカナダ人児童らがギャリソン先生の神経を逆なでしたため、彼は勢いあまって差別用語「カエデ野郎(Canooks)[注 1][注 2][注 3]」を口にした。
教室での問題発言によって校長室に呼び出されたギャリソン先生は、第2言語に関する考え方を改めるように指導された上に、カナダ語[注 4]の講習を受けるように強制された。しかし事態を過度に重く受け止めたギャリソン先生は、白昼夢の中で自国の衰退を嘆く歌を歌い、さらには現実の世界で支持者を集めて抗議活動を開始する。そしてカナダの歴史を学ぶ全校集会の場に顔を出したギャリソンは、演劇の進行を妨げてまたもカナダを侮辱したためにPC校長から解雇を言い渡された。
一連の騒動は生徒間の不和にまで影響を及ぼしていた。サウスパーク小学校内のアメリカ人とカナダ人が対立する未来を懸念したカートマン、スタン、バターズ、ケニー、クライド、トールキン、クレイグは、ギャリソン先生によって妨害された演劇の代わりに、ビデオ作品「ライオン・キング2 シンバズ・プライド[注 5]」の再演を行なうことで2国間の相互理解を深めて、任意に選出したアメリカ人とカナダ人の生徒らが性交("Hot Cosby")[注 6]によって結ばれる必要があるとの結論を出した。男子生徒らは卓上ゲームNot It![注 7][注 8]のルールにのっとって敗者を決定したすえ、バターズに白羽の矢を立てた。
支持者を集めて抗議活動を継続していたギャリソン元教師は、移民を全員ハメ殺し("fuck 'em all to death" )た上で国境に壁を建設し、そして偉大な国アメリカの権威を復活させるとの公約を掲げる。この公約によって町民を味方につけていったギャリソンだったが、公約表明よりも以前から、カナダ人によって国境沿いに壁が建設されていたことが発覚する。
「壁の向こうには素晴らしいものがある」とカナダ人[注 9]に教えられたギャリソンは、なんとしてでもその正体を確認するために、木のたる内に入ってアメリカ滝[注 10]からナイアガラの滝を通じてカナダへの不法入国を試みる。
一方その頃、勝負に負けたバターズは、男子生徒らの代わりにカナダ人の女生徒シャーロットの心を射止めようと奮闘しなければならなくなった。望まない関係を強いられることに嫌悪感をあらわにしていたバターズだったが、彼女の人となりを理解すると、シャーロットに対する印象が好転する。相互理解を深めたシャーロットとバターズは恋に落ちて、互いに自らの意思で恋人同士となる。
シャーロットの家族に招かれて夕食を共にしたバターズは、カナダ人がなぜこぞってアメリカ合衆国にやってきたのかを知る。シャーロットの父によれば、彼らは決してアメリカ合衆国に亡命したかったわけではない。しかし直近の選挙戦にて当選した大統領の統治がひどいもので、辛抱たまらずカナダ人は自国を抜けだした。大統領は職権を違法に乱用し、政治的な問題解決力をまるで持たない政治家であった。
そのような人物であったにもかかわらず彼が大統領となった理由は、そもそも彼をまったく支持していない国民が、侮辱の意を込めて彼を持ち上げたことに端を発している。国民の想定よりもはるかに人望のなかった彼は、それゆえ皮肉にも大統領に当選してしまった。選挙の過程で危機感を抱く国民も少数ながらいたが、行動を起こす前に事態は後戻りのできない深刻な状況に様変わりしていたのだった。
滝の潮流にもまれて満身
カナダの大統領を訪ねたギャリソンは、口論の末に彼に性的暴行を働き、公約通りに殺害した。このニュースを耳にしたカナダ人はすぐさまアメリカ合衆国を離れて、カナダへと次々に戻っていった。自らの意思でアメリカ合衆国にやってきたわけではなかったシャーロットは当然ながら家族とともに帰国することになり、今や恋人同士となったバターズとは離ればなれとなった。
カナダの大統領殺害を完遂したギャリソンは、2016年の大統領選挙[注 11]に出馬する旨を発表する。共に選挙活動を行なう相棒がケイトリン・ジェンナーであることが公にされたのちにエピソードは終わりを迎えるが、ワシントンD.C.へと向かう途中で歩行者を
エピソードの評価[]
AV Clubは"Where My Country Gone"を"A"と評価し、以下のように述べた。
『先週のエピソードに関する批評でも申し上げたが、今回もやはり脚本の展開に納得がいかず、予想外の結末に悪印象を抱くばかりである。しかしながら前回とまったく異なって、“Where My Country Gone?”では、なぜ制作者のトレイ・パーカーとマット・ストーンがPC校長をサウスパーク小学校の長に
PC校長は、ポリティカル・コレクトネスや人間の道徳心をはじめとした現代の倫理観――学術界においてさえ、これらの問題に対処するどころか新たな問題を作り上げる要因となっている事実――に疑問を呈する存在として不可欠であった。社会問題を擬人化したキャラクターを創造することで、トレイとマットは現代社会にはびこる問題を一括して視覚化している。
PC校長の仲間であるPCブラザーズは、間違った倫理観をもとに正義を振りかざす愚かな人間たちとして描かれた。“Stunning And Brave”では彼らが悪役となり、風刺の対象として世間の笑い者にさせるために祭り上げられていた。
しかし、“Where My Country Gone?”で風刺の対象とされているのは、PCブラザーズでもPC校長(敬意を込めて、今後彼のことをPC Principalを省略した名前"PCP"と呼ぶことにする)でもない。エピソードに登場するすべてのキャラクターが愚かな人間として描写されているのだ。
サウスパークの制作者たちは、取りうる最善の選択をした。PCPがサウスパークの世界にとどまることによって、風刺の対象は全視聴者のみならず社会全体であると明確に宣言している。正しい倫理観を理解せずに正義を振りかざす者、それから道徳的悪をことさらに支持する者[注 12]、これらの思想に部分的にであっても該当するならば、私たちはすなわち風刺の対象者となり得るのである』[2]
IGNは"Where My Country Gone"を"8.0"と評価し、以下のように述べた。
『風刺の対象者(ドナルド・トランプ)が明確になった今回は、脚本の質がいくらか向上していた。カイルとケイトリン・ジェンナーにおける確執や、インターネット上で他人をさらし者にする悪文化は相も変わらず評価に値しないが、ギャリソン先生とバターズ、それからドナルド・トランプ風にデザインされたカナダの大統領によって、"Where My Country Gone?"の物語は飛躍的に見応えのある作品となった』[3]
関連項目[]
- サウスパーク・エピックエピソード・トーナメント
- 1回戦敗退エピソード
脚注[]
出典[]
- ↑ 1.0 1.1 "Where My Country Gone? (Season 19, Episode 2)". southparkstudios.com.
- ↑ "AV Club: South Park builds on last week's joke to make us all look like fools.による批評". AV Club.com.
- ↑ "South Park Where My Country Gone Review.による批評". IGN.com.
訳注[]
- ↑ 訳語は動画配信サイトNetflixのサウスパーク配信ページからの引用
- ↑ カナダにおけるフランス語圏で主に使用される単語である。アメリカ合衆国で発せられる場合はしばしば差別的な意味合いを含むことがあるが、先述のカナダにおいては親しみを込めた呼び掛けとして用いられることが多い。
- ↑ "Canuck". Wikipedia(英語版).
- ↑ 実際はカナダなまりのある英語
- ↑ "ライオン・キング2 シンバズ・プライド". Wikipedia.
- ↑ シーズン19の第1話"Stunning and Brave"にて言及された流行語であり、本来は婦女暴行を意図して「ホット・コスビー("Hot Cosby")」と呼ばれた。なお、このコスビーとは、婦女暴行の罪で起訴されたコメディアンのビル・コスビーに由来する。
- ↑ "Not It!". BoardGameGeek.
- ↑ 王の役職を持つプレーヤーが振った3つサイコロのどれにも当てはまらない絵柄を探し、その他のプレーヤーは「該当無し("Not it!")」と宣言した上でカードを提示する必要がある。本エピソードで子供たちは、カード提示の代わりに挙手をした上で宣言をしている。
- ↑ 画像ページ内の設定資料7枚目、説明文「実情に即して(……)」が指す画像を参照のこと。
- ↑ "アメリカ滝". Wikipedia.
- ↑ "アメリカ大統領選挙2016". NHK.
- ↑ 本エピソードでは、PC校長に強い反発を示したすえに、移民(広義では外国人)を排斥するという目標を掲げて大統領候補に立候補したハーバート・ギャリソンが「道徳的悪をことさらに支持する者」に該当する。以降彼は2016年の大統領選挙に出馬したドナルド・トランプ氏の模倣キャラクターとして行動することになるが、このような人物設定が付加されたにもかかわらず、カナダの大統領というもう1人のトランプ氏模倣キャラクターが作られた。これは、ドナルド・トランプ氏(というよりも、ギャリソンのような間違った倫理のもとに正義を振りかざす人間)が社会に台頭した場合にどうなるか、という問いについて考え得る最悪の未来を描く狙いがあった。このように極端な結論ではないにしても、シーズン20で実際に大統領となったギャリソンの支持者Qアノンがシーズン24の"South ParQ Vaccination Special"に登場した際の描かれ方、および彼らにまつわる実社会での出来事を客観的事実のみ抽出して鑑みれば、おおよそ現実的で明確な解を得ることができる。
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エピソードの要素 |
カナダ • カナダの壁 • カナダの大統領 • ケイトリン・ジェンナー • シャーロット • シャーロットの母 • タマスジナメタロウ先生 • トーマス(シャーロットの父) • バラク・オバマ • "Canadian Alphabet" • "Feels So Good" • "The Safety Dance" • "Where Has My Country Gone?" | ||||
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