- | "The Spirit of Christmas" | "未公開版パイロット・エピソード" |
The Spirit of Christmasはトレイ・パーカーとマット・ストーンによって制作された2つの短編映像作品である。2人はのちにアニメシリーズサウスパークで知られることとなる。この短編作品はそれぞれJesus vs. Frosty(イエス・キリスト対雪だるま)、Jesus vs. Santa(イエス・キリスト対サンタクロース)をテーマとしている。
Jesus vs. Frosty[]
1992年、コロラド大学の学生だったトレイ・パーカーとマット・ストーンによって制作される。制作道具は段ボールと接着のり、かなり型の古い8ミリフィルム幅のカメラだけであった。作品は学生の映像作品発表会にて1992年の12月に公開された。
本作品にはサウスパークの主役たちを想起させる4人の少年が登場する。カートマンに似た子供は「ケニー」と呼ばれていたが、その他名前のない3人はそれぞれカイル、スタン、ケニーと似た特徴を持っていた。またこの作品には、サウスパークの初期シーズンに見られるような要素が同様にあった。荒唐無稽なプロットと、乱暴な言葉遣いをするキャラクター、そして物語の最後で少年たちが毎回のように学んでいた「教訓」である。
4人の少年の雪だるま作りがきっかけとなって物語は進んでいく。"Frosty the Snowman"と同じ手順でシルクハットをかぶせられたことで、雪だるまは自分の意思で動くようになった。しかしながら雪だるまは邪悪で危険な存在であり、触手でもってケニー(カートマンに似た少年)を殺害する。ここでカイルに似たキャラクターが、サウスパークアニメ本編で定番となったせりふ、「なんてこった! ケニーが雪だるまに殺されちゃった!("Oh, my God! Frosty killed Kenny!")」を発するにいたった。少年たちが助けを求めに行ったサンタクロースは雪だるまが変装していただけであり、今度は(ファンにとってはおなじみだが)ケニーによく似たキャラクターが殺される。
生き残りの2人は逃げる途中で、キリスト降誕の場面に出くわす。幼児の姿をしたキリストは光輪で雪だるまとシルクハットを切り離し、主人公たちを救済した。この出来事をへて、生き残った少年の1人がおなじみのあのせりふ「今日は大切なことを学んだよ("You know, I learned something today")」を口にする。クリスマスにおいて最も重要なのはクリスマスプレゼントをもらうことだと気付いた少年2人は、カートマンに似た少年の遺体が動物についばまれるのを背に、それぞれの自宅へと帰っていく。
この短編作についてはサウスパークシリーズのアニメ本編内で言及がある。1つ目は"The Simpsons Already Did It"であり、エピソードの中でスタンはトゥイークに雪だるまの鼻をつけるように促すが、トゥイークは「もし雪だるまが生き返って襲ってきたらどうするの?( "But what if by putting on the nose, the snowman comes to life and kills me?")」と言って拒否をした。そこでスタンは「あんなことはもう二度と起こらないって("Tweek, when has that ever happened except for that one time?")」といって友人をなだめた。またシーズン6のクリスマスエピソード"Red Sleigh Down"で主人公4人は"Jesus!"と叫び、今作でカイルとスタンに似たキャラクターとまったく同じしぐさで頭を左右に振っていた。
SBSの記者によると、マットとトレイは作品制作の際にクレジット表記をしておらず、従って本当に彼らが制作者なのかどうかは確認のしようがなかった、と述べている。実際にこのエピソードが話題になった時、記者の友人が制作者とは知らずにトレイとマットへ動画を見せた。見る価値のある面白い映像だといって紹介されたものが、実は自分たちの制作した作品だと知った時、マットとトレイはクレジット表記を忘れていたことにようやく気付いた。
Jesus vs. Santa[]
1995年、フォックス放送[注 1]の管理職であったブライアン・グレイデン[注 2]は、ストーンとパーカーに2,000ドルで新たな短編アニメーションの制作を依頼した。クリスマス用のギフトカード代わりになる映像を友人に送りたいと言われたストーンらは依頼を受けて、Jesus vs. Santaを制作するに至る。
本エピソード中に登場する主役の少年4人は、サウスパークシリーズの主人公であるスタン、カイル、カートマン、ケニーと外見も性格もほとんど同一となっていた(なお、サンタクロースの膝に座っていた少女は、ウェンディ・テスタバーガーに酷似している)。さらに、シリーズ上でたびたび登場する要素――カイルがユダヤ教徒であることや、ケニーの死体をかじるネズミ――が登場する。
アニメーション制作の契約金は2,000ドルだったが、パーカーとストーンが実際の制作にかけた費用は750ドルであったという話もある。しかしながら真偽は不明である。なお、この短編アニメーションの制作過程は"A Very Crappy Christmas"のエピソードで一部再現がされている。
以下のように、本エピソードは前作であるJesus vs. Frostyとは大きく異なっている。
冒頭でサウスパーク町に降臨したイエス・キリストは、主役たちにショッピングモールまでの案内を頼む。そしてモールへと到着したキリストは、長年の宿敵であるサンタクロースとはち合わせ、口論となる。彼によるとサンタクロース(クリングル)は、クリスマスという聖なる日を汚す無礼者であるようだ。
キリストに敵意向けられると、サンタクロースは「『今度こそ』決着をつけてやる("this time", they will "finish it")」と言って応戦する。2人は取っ組み合いのケンカを始めて(この時に流れている音楽は、ゲームモータルコンバット3[注 3]で使用されたものである)、混乱の末に誤ってケニーを含むエキストラキャラクターたちを殺害していった。
地面に倒れたキリストとサンタクロースに助けを求められた主役たちは、悩んだ結果ブライアン・ボイタノに仲介を請うた(映画South Park: Bigger, Longer & Uncutではこの場面が再利用されており、「ブライアン・ボイターノならどうする?」という楽曲が制作される)。するとフィギアスケート選手のボイタノが登場して、クリスマスこそ他人を思いやる日であると主役たちに忠告する。
ボイタノの言葉を主役たちがサンタクロースとキリストに伝えると、ケンカをしていた2人は争いをやめて、キリストがサンタクロースにオレンジスムージー[注 4]をわびとして買い与えると約束する。
しかしながら、主役たち子供にとってもっとも重要なのは、クリスマスにプレゼントをもらうことである。ユダヤ教におけるクリスマスではプレゼントが8日続けてもらえると知ったスタンとカートマンは、その理由のみで改宗を決めるほどであった。少年たちが帰宅する姿が描かれた後、ケニーの死体はネズミたちに引っ張られて画面外へと消える。
パーカーとストーンにアニメーションの制作を依頼したグレイデンは、結局1995年の12月に80人の友人へと完成作品を配った。その結果、友人の1人が芸能人のジョージ・クルーニーに作品を見せたと言われている。なお、キャラクターとしてブライアン・ボイタノが登場したという事実もボイタノ本人に知られるところとなったが、彼自身はエピソード本編での扱いを、パーカーとストーンによる敬意の表れであると受け取ったようだ。
その後、月日は過ぎていったが、その間にインターネット上で違法な複製品が多く作られた。その1つがコメディ・セントラルで働く社員の目に留まったため、彼らはパーカーらと契約を交わして、1997年8月13日にサウスパークシリーズの第1話を放送した。
1997年、Jesus vs. Santaがロサンゼルス映画批評家協会賞[注 5]のアニメ映画賞を受賞する[注 6]。
Spirit of Christmas: Jesus vs. Santaが、DVDSouth Park The Hits: Volume 1に特典映像として収録される。
本エピソードはCBS/Fox Video[注 7]が発売するR指定のクリスマス映画群内には存在せず、また1997年にサウスパークシリーズが放送されるまで公開されなかった。
関連エピソード[]
画像 | 題名 | シーズン | |||
"Mr. Hankey, the Christmas Poo" | シーズン1 | ||||
邦題:おしゃべりウンチのMr.ハンキー サウスパーク小学校は、どんな宗教の人でも不快感を持たないで見られるホリデー演劇に挑戦する。そんな中カイルは自ら精神病院に入院するのだった。 | |||||
"A Very Crappy Christmas" | シーズン4 | ||||
邦題:ウンチまみれのクリスマス ミスター・ハンキーがクリスマスをキャンセルする。主役たちが彼の家を訪れると、彼にはアルコール中毒の妻と3人の子供がいた。 | |||||
"The Simpsons Already Did It" | シーズン6 | ||||
邦題:チン没カートマン帝国 プロフェッサー・カオスはサウスパークを混乱に陥れるために考えた計画が全て「ザ・シンプソンズ」ですでに行われていると気付く。 | |||||
"Red Sleigh Down" | シーズン6 | ||||
邦題:キリスト怒りのバグダッド クリスマスプレゼントをもらうため、「良い子」のスコアを一気に集めようと画策するカートマン。彼はサンタとミスター・ハンキーそしてイエスと共に、虐げられたイラクの子供達にクリスマスを届けようと命をかける。 | |||||
"6 Days to Air: The Making of 'South Park'" | シーズン15 | ||||
サウスパークの制作現場に密着したドキュメンタリー番組。 | |||||
関連エピソード |
Phone Destroyer関連カード[]
カード | テーマ | レア度 | 属性 |
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サンタクロース |
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チャージ技:クリスマスの魔法を用いて味方のチャージを完了させる。 | |||
キリスト |
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1度のみ蘇生する。突撃:身近な味方全員を回復し、罪を許す。 |
脚注[]
訳注[]
- ↑ "フォックス放送". Wikipedia.
- ↑ "Brian Graden" (言語:en). Wikipedia.
- ↑ "モータルコンバット". Wikipedia.
- ↑ "スムージー". Wikipedia.
- ↑ "ロサンゼルス映画批評家協会賞". Wikipedia.
- ↑ "ロサンゼルス映画批評家協会賞 アニメ映画賞". Wikipedia.
- ↑ "CBS/Fox Video" (言語:en). Wikipedia.
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エピソードの要素 |
エリック・カートマン • カイル・ブロフロフスキー • スタン・マーシュ • ケニー・マコーミック • 雪だるま • イエス・キリスト • サンタクロース • "Frosty the Snowman" • "Dreidel, Dreidel, Dreidel" • 「おめでとうクリスマス」 | ||||
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