"Here Comes the Neighborhood" | |||||||
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話数 | シーズン5 エピソード12 | ||||||
邦題 | 若きトークンの悩み(※原文ママ) | ||||||
制作番号 | 512 | ||||||
初放送日 | 2001年11月28日 | ||||||
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エピソード一覧 |
"Here Comes the Neighborhood"はシーズン5の第12話、シリーズ通算で77話目にあたるサウスパークのエピソードである。2001年11月28日に放送された[1]。
あらすじ[]
サウスパーク唯一のお金持ちであることに疲れてしまったトールキンは、町に他のお金持ちを呼ぶことにする[1]。
脚本[]
トールキン(本エピソードにおいての名前は『トークン・ウィリアムズ』)は、このサウスパーク町に暮らす唯一の黒人の子供だ[注 1]。それだけでなく彼は、町で最も高所得かつ上流階級の家庭で生まれ育っている。対してサウスパーク町に住む大抵の家庭は低所得であるため[注 2]、友人たちは「変わった」家庭で生まれ育ったトールキンをからかうのであった。
友人からの扱いにうんざりしたトールキンは、自身と同じ境遇に生まれ育った仲間を探すことにする。そこで経済誌「ファーブス[注 3][注 4]」を介して広告を出すと、サウスパーク町が「アスペン市に次ぐ優良都市である」と宣伝をした。トールキンの試みは見事に成功したが、奇妙なことに、サウスパーク町へ越してきた上流階級の人間はウィル・スミスやジェイダ・ピンケット・スミス、オプラ・ウィンフリー、P・ディディ、コービー・ブライアント、スヌープ・ドッグ、ビル・コスビーなど、アフリカ系人種ばかりであった。
サウスパーク小学校の元教員であるハーバート・ギャリソンは、アフリカ系の富裕層を「金持ち野郎(richers)」や「銭投げ野郎(cash chuckers)」などと呼んで不快感をあらわにする。そして低所得である他の住民も、ギャリソンに触発されて富裕層の住民らを恨むようになる。
一方、富裕層の夫婦およびその子供たちが町に越してきたことに、トールキンは歓喜した。しかし喜びは最初のみで、彼はだんだんと新しい友人と自身との間に大きな違いがあることを思い知る。まず、上流階級の子供にはトールキンが持たない独特のなまりがあった。加えて、新しい友人はいかにも「金持ち」の球技であるポロ[注 5]で遊ぶことに慣れていた。トールキンは、ポロのルールすら理解することができなかった。
貧困層である元友人たちと遊んでいた時と全く同じ疎外感を、トールキンは抱いた。どこにも居場所がないと思い詰めた彼は、サウスパーク動物園でライオンとともに生きていくと決める。
サウスパーク町民の富裕層に対する風当たりは日に日に悪化していき、ついには「差別」と定義される言動にまで発展していった。町民たちは結託して町の規則を設定すると、富裕層が町民たちの経営する飲食店を利用することを禁止する。またバスに乗る際は、「富裕層専用シート」と称して最前列に座るように強制した。
町民たちの無礼な行いに憤慨したアフリカ系の富裕層たちは、トールキン家を除けば唯一のアフリカ系住民であるシェフを勧誘すると、町中を練り歩くという抗議活動を開始した。もっとも、シェフは彼らと異なり富裕層ではなかったが、100ドルで買収されるという「低所得者」らしい描写をもって抗議活動への参加を決めた。
その頃、動物園でライオンとともに暮らしていたトールキンは、ライオン王アスラン[注 6]を含む他のライオンたちの退屈な冗談に飽き飽きしていた。ライオンにすらなれないと悟ったトールキンは、失意の思いで自宅へと帰ることにした。
トールキンが戻ってきたことを知って、友人のクレイグ一味や主役たちは喜び、温かく彼を歓迎した。このことにトールキンはいたく驚いたが、スタンとその親友カイルは、からかうという行為は男の友愛を示す一種の方法であると説明をする[注 7]。
しかしながらトールキンが富裕層を理由にからかわれることを嫌がっていると知ったスタンたちは、それについて今後言及することをやめると決めた。その代わりに「からかわれただけで友情を捨てるような弱虫野郎」呼ばわりされることになったトールキンは、弱虫だとからかわれるよりも以前と同様の扱いの方がいくらか我慢ができると主張した。
一方のギャリソンは、木材を重ねて「t("time to leave"=『さっさと出ていけ』の意)」の文字に見立てたものを燃やして脅迫材料としたり、白い布をかぶって幽霊に擬態する(ただし、外見上は排斥運動団体KKKを想起させる[注 8])。その上で、町民らと富裕層をおどかしに掛かるなどのいやがらせ行為を働いた。ギャリソンの意図とは異なっていたが、KKKの仮装をした集団に追い回されていると思い込んだ富裕層らは、一も二もなく町外へ逃げだした。
アフリカ系の富裕層を追放することに成功したギャリソンは、彼らが放り出した高級住宅を売却して金を稼ぐ計画を立てる。しかしながらその計画は当然受け入れられず、ギャリソンは町民から「また金持ちが増えたら意味がない」と反発にあう。それでもギャリソンは悪びれず、「でも、うっとおしい『黒……』を追いだしてやったでしょう?("Well, yeah, but at least I got rid of all those damn ni — ")」と返答した。ただし差別用語をギャリソンが発する隙は与えず、エピソードは彼の発言と同時に終了する。[注 9][注 10]
関連エピソード[]
脚本関連[]
脚本に関わるエピソード
画像 | 題名 | シーズン | |||
"Pinkeye" | シーズン1 | ||||
ケツ膜炎ゾンビ計画 ハロウィンの夜、サウスパークの住人達は次々とゾンビに姿を変えていく。 | |||||
"Cartman's Silly Hate Crime 2000" | シーズン4 | ||||
邦題:塀の中の懲りない友情 カートマンはFBIから憎悪犯罪の疑いをかけられ、少年院に収監される。 | |||||
"Chef Goes Nanners" | シーズン4 | ||||
邦題:恋のためらい ウェンディとカートマン シェフはサウスパークの伝統的な旗のデザインが「人種差別的」と非難する。デザインを変えるように町に求め、その影響は町全体に広がっていく。 | |||||
"It's Christmas in Canada" | シーズン7 | ||||
邦題:アイクをたずねて3000里 アイクの生みの親が突然現れ、親権を主張する。サウスパークの町はクリスマスをキャンセルする。主役たちはアイクを取り戻そうとカナダを目指す。 | |||||
"Follow That Egg" | シーズン9 | ||||
邦題:育児の授業 元恋人の男性が結婚すると知ったギャリソン先生は、それを阻止するために、同性愛者の結婚生活には無理があることを証明しようと奮闘する。 | |||||
"With Apologies to Jesse Jackson" | シーズン11 | ||||
生放送でランディは差別的な失言をする。息子スタンと黒人のトールキンの仲は険悪となり、小学校に講師が派遣されてくる。 | |||||
"Cartman Finds Love" | シーズン16 | ||||
邦題:恋のキューピッド アフリカ系アメリカ人のトールキンとニコールをくっつけようとするカートマン。その過程でカートマンは自分の気持ちに気付く。 | |||||
"World War Zimmerman" | シーズン17 | ||||
ジマーマンの運命 カートマンはクラスメートのトールキンを、人類をおびやかす危険な存在と見なすようになる。 | |||||
"Black Friday" | シーズン17 | ||||
邦題:ブラック・フライデー ショッピングモールには祝日セールが待ち受けている。買い物に備えて幾日も前から店の前で行列を成す住民たちに、主役たちは戦いを挑まなければならなくなった。 | |||||
"A Song of Ass and Fire" | シーズン17 | ||||
邦題:尻と炎の歌 ブラック・フライデーの日が近づくごとに、新しいゲーム機器をめぐる争いも激化していく。プリンセス・ケニーは報復として、カートマンの元を去った。 | |||||
"Titties and Dragons" | シーズン17 | ||||
邦題:パイオツとドラゴン ついにブラック・フライデー当日を迎えて、ショッピングモールの扉が開放された。Xboxかソニー社か、どちらのゲーム機器を買うかで拮抗状態にあった戦いにもいよいよ勝者を決する時が来た。 | |||||
"Where My Country Gone?" | シーズン19 | ||||
邦題:俺の祖国はどこへ行った? 不法移民を自国から追い出すために、ギャリソンは国境の壁を建設しようと計画を立てる。 | |||||
"Sponsored Content" | シーズン19 | ||||
邦題:人類の新たな敵 学校新聞の記事に不適切な言葉を使用したとして、ジミーは校長室に呼びだされる。記者としての矜持きょうじを貫くならば、ジミーはPC校長と真っ向から対立しなければならない。果たしてジミーには校長の意思を変えられるのか? | |||||
脚本関連エピソード |
その他関連[]
脚本に関わらないが、関連するギャグやアイテムが登場するエピソード
画像 | 題名 | シーズン | |||
"Asspen" | シーズン6 | ||||
邦題:スキーなんか大嫌い タイムシェア物件の説明会で両親が足止めされている間、スタンはそのゲレンデで最強のスキーヤーに勝負を挑んでいた。 | |||||
"The Death of Eric Cartman" | シーズン9 | ||||
邦題:バターズのゴースト・フレンド カートマンは自分が死んだと思い込む。バターズの元に幽霊として訪れると、バターズもその純粋さゆえカートマンを幽霊だと思い込む。不思議な思い違いをした2人は、今まで迷惑をかけてきた人々に償いをする。 | |||||
"Tsst" | シーズン10 | ||||
カートマンの母リアンは、手の付けられない息子のしつけを子守り番組に依頼する。 | |||||
"Breast Cancer Show Ever" | シーズン12 | ||||
乳ガンをしこたまに茶化すカートマンに我慢ならず、ウェンディは決闘を申し込む。 | |||||
"Let Go, Let Gov" | シーズン17 | ||||
邦題:政府を心に受け入れよう 自身のプライバシー保護に不安を感じたカートマンは、アメリカ合衆国国家安全保障局(NSA)に潜入することを決意する。 | |||||
"Skank Hunt" | シーズン20 | ||||
邦題:スカンクハント 主役たちは混迷状態へと陥ったサウスパーク町を鎮めるために、カートマンに制裁を下した。しかしそれでもスカンクハントの言動は止まないどころか、インターネットを利用して世界じゅうの人々を巻き込みはじめた。 | |||||
"South Park: Post Covid" | 短編映画 | ||||
コロナウイルスの世界的まん延を経験した子供たちがどのように生活を送ってきたのかが描かれる。スタン、カイル、カートマン、ケニーは苦難を乗り越えたが、彼らの人生は以前と全く異なるものへと変化していた。 | |||||
その他関連エピソード |
関連項目[]
Phone Destroyer関連カード[]
カード | テーマ | レア度 | 属性 |
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ギャリソン大統領 |
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チャージ技:敵にストライキを呼び掛け、ダメージを与えることでユニットを弱体化させる(敵側のリーダーの場合は22のダメージ)。 |
脚注[]
出典[]
- ↑ 1.0 1.1 "Here Comes the Neighborhood (Season 5, Episode 12)". southparkstudios.com.
訳注[]
- ↑ サウスパーク町にはこの時点でトールキンのほかに、ジェローム・“シェフ”・マッケルロイ——通称シェフという黒人男性がいる。さらにのちのエピソード"Cartman Finds Love"では、町で唯一の黒人女生徒ニコール・ダニエルズがサウスパーク小学校に転入してくる。
- ↑ 主役の1人であるケニー・マコーミックは、トールキンとは対照的に町で1番の貧困家庭で生まれ育った。このキャラクター的特徴がシリーズ上でたびたび言及されるため強調されがちだが、もともとサウスパークは「辺境な町に住む、低所得でポリティカル・コレクトネスを重んじない白人が住む町」を描いている。住宅の規模を見ても分かるように、残りの住民はごく微少な差はあるとはいえ、一様にどの家庭も貧困層に分類される。(参照:サウスパーク町の「アニメ本編での描かれ方」見出しを参照のこと)
- ↑ "フォーブス (雑誌)". Wikipedia.
- ↑ "Forbes JAPAN 公式サイト". Forbes.com LLC™.
- ↑ "ポロ". Wikipedia.
- ↑ "アスラン (ナルニア国ものがたり)". Wikipedia.
- ↑ 「友人をからかうのはあくまで遊びの延長であり、本気ではない」旨をトールキンに説明した後で、親友のスタンとカイルは実際にお互いをからかい、お互いを笑いの種として2人で笑い合った。しかしその次にカイルがカートマンを肥満型だとからかった際は、「からかうのは男の友人同士で普通のことだ」と主張していたカートマンが怒りだす。それはカイルが重ねた悪口に耐えられなくなったからだが、「友人」であるはずのカートマンにカイルがしたこの対応から、カートマンの立ち位置が間接的に描写されていると読み取ることができる。カートマンはギャリソン先生と同様周囲の人間に強い偏見を持っており、苛烈な差別行為に走る傾向がある。この他にも、友人の母親が買ってきた食事の一部を独り占めするなど、自己中心的な言動も多々見られる。シーズン10の"Tsst"で母親の殺害計画を立てた際にスタンたちが全く協力の姿勢を見せなかった点や、その後家出をしたカートマンを自宅に泊めることを拒否したジミー、クレイグの言動からも明白なように、カートマンは他の主要な生徒とは明らかに異なる立ち位置にいる。特にクレイグに至っては、"Tsst"で「(おまえがどう思おうが)俺はおまえが嫌いだ(...But I hate you.)」とカートマンに面と向かって宣言するだけでなく、シーズン12の"Breast Cancer Show Ever"では「俺たちは本当に、心からおまえを嫌ってる(No, it's true. We've always hated you.)」と発言しており、周囲の生徒もその主張に同調している。シーズン9の"The Death of Eric Cartman"やシーズン20の"Skank Hunt"では、生徒たちが結託してカートマンをグループの輪から追いだそうとするほか、間接的な集団暴行(ただしカートマンの肉体に実害はなし)を
行 った。ただし、親友のバターズだけは例外である。シーズン17の"Let Go, Let Gov"では、「エリック・カートマンは時々いじわるをする友人だけれど、それでも害がないように見守ってほしい([...] even ol' Eric Cartman. Uh I know he can be a meanie sometimes, but please watch over him too.)」と政府に対して祈りごとをしている。カートマンの言動を「時々いじわるをする(けれど友人らしく接してくれるところもある)」と好意的に解釈しており、大切な友人と見なしているようだ。しかし、バターズはいわゆる純真無垢 な子供であるので、この善良性を他ならぬカートマンに利用されることが珍しくない。 - ↑ 同様の演出は、シーズン1の"Pinkeye"でも確認できる。
- ↑ カートマンやハリソン・イェーツ刑事の率いるパーク郡警察隊と同様に、ギャリソン先生も差別主義者である。シーズン7の"It's Christmas in Canada"での移民追放思想を直接口に出すだけでなく、(かつては)同性愛者への嫌悪も強く、シーズン9の"Follow That Egg"では同性婚の法案可決を避けるために苛烈な反対運動を先導することもあり、またカナダの移民を国外追放したいがためにシーズン19の"Where My Country Gone?"で大統領に立候補する、さらに同シーズンの"Sponsored Content"で「シリア難民の虐殺」を大統領候補の討論会で宣言するなど、常軌を逸した攻撃的な言動が最も多く描かれるキャラクターの1人である。
- ↑ なお本エピソードのように、サウスパークシリーズに登場するアフリカ系アメリカ人のキャラクターは、ギャリソン先生、カートマン、パーク郡警察隊から苛烈な迫害に遭っている。その経験が積み重なった結果か、アフリカ系アメリカ人の生徒であるトールキン・ブラックは40年後の世界を描いた短編映画South Park: Post Covidで、治安維持を職務とする刑事となっていた。
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エピソードの要素 |
ウィル・スミス • オプラ・ウィンフリー • コービー・ブライアント • サウスパーク動物園 • ジェイダ・ピンケット・スミス • スティーヴ・ブラック • スヌープ・ドッグ • トールキン・ブラック • ビル・コスビー • ライオンのアスラン • リンダ・ブラック • "Why Can't I Be Like All the Other Kids?" | ||||
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発行物 |
South Park: The Complete Fifth Season |