赤毛分離派運動(Ginger Separatist Movement)は、赤毛遺伝子を持つ人種至上主義をうたうエリック・カートマンによって結成されたナチ党風の組織である。シーズン9のエピソード"Ginger Kids"で初登場したが、その後はシーズン14の"200"、"201"までにスコット・テナーマンによって再結成がなされた。新設された赤毛集団たちは、スーパー・ベスト・フレンズの敵側に回り対立を繰り広げる。また"Butterballs"では、スタンの作成した「いじめ撲滅運動」を促す広告動画にて赤い髪の生徒を複数人確認できる。
背景[]
組織結成の発端は、カートマンが学校の課題発表にて赤毛遺伝子(髪が赤く、肌が白く、そばかすを持つ)の子供を「ジンジャー」と蔑称して糾弾したことにある。カートマンの差別的な演説を聞いたカイル、スタン、ケニーは友人同士で手を組むと、カートマンの髪をヘナ染料[注 1]で赤く染めて、肌をさらに白く塗り、ヘナ染料で頬にそばかすを描いた。
これによって自身も「ジンジャー」であると思い込んだカートマンは、自らが差別対象者である人間だという虚構の事実に苦しめられることになる。それこそがスタンたちの狙いであったが、カートマンはこのような経験をしてさえ自身のゆがんだ認知と偏狭な思考を改めることができなかった。
人生の教訓を生かす機会を逃したカートマンは、その後ジンジャーの立場に立って演説を行ない、社会全体が赤毛遺伝子を持つ人間にとっていかに不寛容で冷酷な世界であるかを訴えはじめた。
そうしてカートマンは学校じゅうの生徒を集結させて「赤毛分離派運動」という組織を結成した。当初は単に人権の平等性を訴える集団であったが、カートマンの指揮下で言動は急速に過激化していき、憎悪には憎悪で対処すべしという暴力的な思想を根本に置く過激派組織へと変貌した。
彼ら組織が行なった最初の犯行は、ミュージカル「アニー[注 2]」で主役のアニー・ウォーバックスを演じていた女優に暴行を加えたことである。彼らはアニー役の女優がジンジャーの遺伝子を持たない人間であった事実に、暴力を用いて抗議を示した。
カートマン率いる集団は日に日に規模を拡大していった。無益な暴力で人を支配することで力を得たと錯覚した彼らは、自身を「選ばれた人種」だとすら思い込むようになり、ついには赤毛遺伝子を持つ人間以外を地球上から抹消しようと決意する。
カートマンは組織の構成員たちに命じて、町じゅうの子供たちを全員誘拐した。そうして彼は人身御供を行なう腹づもりだったが、ふとしたきっかけで自身が「ジンジャー」ではない事実を把握する。真実を知ったカートマンの頭にまずよぎったのは、組織の長である自身の立場が失墜した後、今まで手駒のように扱ってきた構成員たちからの反乱に遭う未来像であった。
そこでカートマンは
"200"と"201"に登場した新組織[]
"200"にて結成された新しい組織は、カートマンによってヒルトン空港ホテルの「日の出の間(Sunset Room)」にて誕生した組織「赤毛分離派運動」と類似していた。カートマンが「ジンジャー」の人権を求めて活動を行なっていたのと同様に、この集団組織も周囲から軽んじられない立場を欲していた。
その後彼らは、サウスパーク町で過去に辱めを受けた有名人らがムハンマドを求めて抗議活動を行なっていると知る。同じく周囲から
"201"にて、新たな赤毛集団を指揮していた人物が、カートマンの永遠なる宿敵スコット・テナーマンであると判明する。両親を亡くして孤児となったスコットは保護施設で治療を受けながら過ごす間に、カートマンのすべてを調べ尽くした。
そして彼は、カートマン自身も知り得なかった出生の秘密――カートマンの実夫がデンバー・ブロンコスにかつて所属していたフットボール選手ジャック・テナーマンである事実を暴いた。つまりジャックを父に持つスコット・テナーマンとエリック・カートマンは、半分血のつながった兄弟であり、さらにカートマンは長年自身が忌み嫌っていた「ジンジャー」の遺伝子を持つ
メンバー[]
エリック・カートマン[]
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カートマンは赤毛分離派運動の初代リーダーである。"Ginger Kids"当時は赤毛の遺伝子を持たなかったにもかかわらず組織に属していた異質な存在であったが、のちのエピソード"201"ではその遺伝子を半分受け継いだ真のディ・ウォーカーであると発覚する。
服装は赤い上着に茶色のズボン、黄色の手袋に黒い靴である。頭にかぶる青い帽子には、頂部に黄色の毛糸玉が装飾されている。
スコット・テナーマン[]
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カートマンの異母兄弟であり、赤毛分離派運動の2代目リーダーを務める。カートマンや他の赤毛生徒らと同じく、スコットも太陽の光に耐性を持つディ・ウォーカーである。
ゴードン・ストルツキー[]
- 個別ページ: ゴードン・ストルツキー
"Dances with Smurfs"で殺害されるまでは組織の構成員だった生徒である。
服装は"Robot Warriors"と文字が印刷された白いシャツで、袖や襟に赤の差し色が入っている。ズボンは紺色で、黒い靴を履いている。
ゲーリー・ネルソン[]
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South Park: The Stick of Truthで新入りに殺害されるまでは構成員だった生徒である。
服装は短い袖の青いシャツに灰色のズボン、それから黒い靴である。
フローリィ家の子供たち[]
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フローリィ家の3きょうだいである。長男は向かって右側にポケットのついた赤い上着を身につけており、灰色のズボンに黒い靴を履いている。彼より年下と思われる長女は紺色のセーターに緑色のズボン、黒い靴を身につけている。末娘の服装はピンク色(※紫色)のシャツの上に紫色(※小紫色)のベストとスカート、黒い靴であった。
トリビア[]
- シーズン14の告知動画では、カートマンが"Ginger Kids"と同じく赤毛の少年に変装して登場する。カートマンはカメラに向かってジンジャーの人権を主張し、自分たちには間違いなく魂があると宣言した後で、常軌を逸したかのような叫び声を上げた。なおこの映像には参照元の動画が存在している。動画投稿者の"CopperCab"(コッパーキャブ)は、"Ginger Kids"が放送されてからというもの5年という長い期間に渡って差別に苦しんできたと訴えている。
- ゲームSouth Park: The Stick of Truthでは赤毛の生徒たちが廊下を監視する委員会として登場しており、居残りを命じられたクレイグを仲間にするために突破すべき関門の1つに位置づけられている。しかし当ゲームの試作版では赤毛分離派運動として登場する場面が確認できる。このことから彼ら赤毛の生徒たちは"201"以降も組織活動を続けていたが、のちに何かしらの理由で解散を余儀なくされた経緯があったものと推測できる。