サウスパーク・アーカイブス Wiki
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Dude, this is pretty fucked up right here!

—スタン・マーシュ

Oh my God, they killed Kenny! You bastards!

—スタン・マーシュ/カイル・ブロフロフスキー

スタンリー・“スタン”・マーシュ(Stanley "Stan" Marsh)はサウスパークの主役であり、その他エリック・カートマンカイル・ブロフロフスキーケニー・マコーミックの主役3人とよく行動を共にしている。

背景[]

スタンはサウスパーク小学校に通う4年生(以前は3年生)である。担任教諭はハーバート・ギャリソンが務める。父親のランディ・マーシュは地質学者、母親のシャロン・マーシュトムの鼻整形美容外科で医療事務員をしている。短期間ではあるが、"Clubhouses"のエピソード中はロイという義父がいた。

キャッチフレーズと癖[]

シリーズで定番となるギャグの1つに、スタンとカイルのせりふがある。ケニーが殺されるとスタンが「なんてこった。ケニーが殺されちゃった!("Oh my God, you/he/she/they/we killed Kenny!")」と叫び、親友のカイル(※参照:カイル・ブロフロフスキーとの関係性が「この人でなし!("You/that/those/we're bastard(s)!")」などと叫び返す。

このほか、定番というほどではないが頻出していたせりふのひとつにThe Spirit of Christmasの2作目で初登場した「おいおい。最悪だな、まったく("Dude, this is pretty fucked up right here.")」がある。規制音で遮られることがほとんどであったこのせりふは、シーズンを重ねるにつれて登場しなくなる。
 またエピソードを総括するせりふ「今日は大切なことを学んだよ("You know, I learned something today.")……」は、カイルに次いで最も多く担当するキャラクターである。ただしこのせりふは、カートマンやマクダニエルズ町長など他のキャラクターが担当することもまれにある。

 上着のポケットに手を入れて歩く、もしくは考え事をするというのは、時おり見られるスタンの癖である。
 シーズン10まで制作される頃になると、さらには嘆きながら「(実際には描かれていない)鼻を押さえて強く目を閉じる」という癖が追加されるようになる。好例"ManBearPig"で深夜にアル・ゴアの話し相手を電話口にしなければならなくなった場面のように、スタンは不満といら立ちを抑えるために上記のような行動を取る。さらにシーズン11の"With Apologies to Jesse Jackson"では、テレビジョン番組を通じて大きな侮辱を受けた後、テレビジョン放送局から帰宅する間はずっと鼻を押さえている。なお母親のシャロンも同様の姿勢を取っていた。さらにはシーズン8の"Goobacks"で、リポーターからインタビューを受けるランディを見てまたも鼻を押さえている。その他多数のエピソードから鑑みるに、スタンのこの癖は両親に対する不満が増大するにつれ固定化されていったものとみえる。
 さらには親友であるカイルにも同様の癖が描かれることがあった。彼の場合は目を閉じるのみであり、頻度もスタンほど高くはない。スタンほどこの癖が描かれない理由は、親友としてともに描かれることが多いゆえに、性格にも共通点が多いとキャラクターの個性を区別できなくなるという批判があるためである。

取り乱した際や不信感を表現する際に、うめき声("Aw-awww!")を上げることもある。父親のランディも同様の癖があるため、これは親子間で共通の特徴と言える。なおこのうめき声は、1998年にトレイ・パーカー制作のスポーツ・コメディ映画BASEketball[注 1]にも登場する。

この他の特徴としては、他人の意見に同意する場合や懐疑的である場合にいずれも非常に不明瞭な口調で「もちろん("sure")」、「そうだな("yeah")」とつぶやく、怒った時やいら立った時、面倒ごとに巻き込まれた場合には「ちくしょう!("Goddamnit!")」と叫ぶなどがある。なお混同されやすいが、カートマンにも同様のキャッチフレーズ"Aw! God-damn it!"がある。また教室では普段よりもやや高い声で"Oooooh....."と発することや、シーズン12の"Super Fun Time"および"About Last Night..."で見られるように、何かしらに衝撃を受けた際には「なんてこった!("Jesus Christ!")」と叫ぶことがある。

性格[]

主役4人のなかで最も感受性が高いのがスタンである。たとえばシーズン5の"Kenny Dies"では「死」に対する強い拒絶反応を示した。生物の死はスタンにとって未知の事柄であり、ゆえに死につながる重病患者の病状に対する理解に彼は苦しんだ。またシーズン7の"Raisins"では、恋人が友人のトールキン・ブラックと恋愛関係に至ったと知ってひどく意気消沈している。シーズン6の"Fun with Veal"では、食肉用に育てられた子牛に同情して牛肉を完全に絶った唯一のキャラクターとなる。
 このように、スタンは豊かな感受性ゆえに他の子供よりも物事に対して顕著な反応を見せる傾向にあるが、シーズン13の"Dances with Smurfs"やシーズン4の"Chef Goes Nanners"では、人々の死に対して特段関心を示さなかった。

感受性が豊かであると同時に、スタンは高い道徳心を持つキャラクターでもある[注 2]。たとえばシーズン4の"Cherokee Hair Tampons"では、医学上まったく効果の認められない代替医療[注 3]を商売にしていたミス・インフォメーションに反感を抱き、ケニー、ティミーバターズらと協力をして彼女に抗議した。
 またシーズン5の"Super Best Friends"では、信者を操って自殺を強要するデビッド・ブレインと対立しており、さらにシーズン6の"The Biggest Douche in the Universe"では、超能力者を自称するジョン・エドワードを偽物であると非難している。スタンは超能力に対して懐疑的であったが、周囲の支持を得てテレビジョン番組に出演する。これによりエドワードとの関係性がさらに悪化した結果、両者は自称・超能力者として対決することとなった。

道徳心に伴い、スタンは強い正義感も持ち合わせている。"Cherokee Hair Tampons"では病状の悪化ゆえに移植が必要となったカイルのために、自身の腎臓を提供すると申し出た。通常、腎臓は1人につき片方の移植のみが認められるが[注 4]、スタンは生命の危険を顧みず、カイルにすべての腎臓提供を希望した。
 またシーズン13の"Whale Whores"では、鯨やイルカを日本人による乱獲から守るために、たった1人で動物・自然愛護団体を立ち上げる。しかしながら問題は小学生であるスタンの手にあまるほどに大きくなり、さらにはスタンの行動が2国間の戦争を生んだとして責任を追及される。力及ばず鯨およびイルカを保護することができなかったが、このエピソードはスタンの動物に対する愛情を顕著に示す好例となる。最終的に、スタンは日本人を殺りくに駆り立てる原因を究明する。広島県への原子爆弾空襲(原爆)[注 5][注 6][注 7]による怨恨えんこんが日本人の凶暴化に起因していると考えたスタンは、原爆の責任をおよびに転嫁する[注 8]。スタンの言葉を信じた日本人は、殺害の対象を牛や鶏に改める。従って現代社会の実情に沿い、日本人はアメリカ人と同様に家畜を「虐殺」するようになった。

感受性の高いスタンだが、一方で詐欺や悪質な新興宗教、サウスパーク町にたびたび発生する流行などには感化されないしたたかな精神力を持つ。また眼識があり、世間から称賛を受けている有名人の本質を見抜く才能を有している。
 シーズン9の"Trapped in the Closet"およびシーズン15では、人知を超えた力を持つエイリアンからの支配に屈することなく、これらの真偽を見極めた唯一の人物であった。しかしながらシーズン3の"Chinpokomon"やシーズン7の"South Park is Gay!"では流行を自ら取り入れている。この場合、スタンの役割は親友であるカイルが代わりに担った。

上記のように詐欺やカルトだけでなく、企業の腐敗をも見抜く。カルトが人に及ぼし得る悪影響や危険性も理解していることから、サウスパーク町内においては突出して賢明なキャラクターである。それゆえにスタンは、サウスパークに登場する有名人の多くをあざ笑い、また敵に回し、面目をつぶす役割を担うキャラクターとなった。
 この他にも、最も言動を目にする機会のある父親・ランディが、人間的に未熟であり、取り柄もない非人格者であることも起因している可能性がある。模範となるはずの父親像が欠如していることが、スタンの大人への不信と疑念を抱く要因となっている。

初期シーズンにおいて、スタンと親友カイルの性格は非常によく似ていた。ただし両者の特性は完全に一致しているというわけではなく、またシーズンを重ねるごとに人物背景が蓄積されて、スタンとカイルの人格はより複雑かつ詳細に描かれるようになった。しかしながらキャラクターとして個別の性質を多く持つようになった現在でも、2人は変わらず親友であり、誰よりも深い親交を持ちつづけている。主役4人の中にはカートマンとケニーもいるが、この両者間にスタンとカイルほど強い絆は描かれていない。4人の中で最も強い絆を持つのが、スタンとカイルの2人なのである。

シーズン7の"Raisins"でウェンディと破局したスタンは、先述する豊かな感受性を持つゆえに極度の落ち込みを見せる。このエピソードでゴスキッズに加入したスタンは、以降のエピソード"You're Getting Old"および"Ass Burgers"でも彼らと同じく冷笑主義[注 9]を思わせる言動を取るようになる。あらゆる全ての物事が文字通り「クソ」に見えるようになったスタンは、アルコール飲料による酩酊めいてい状態を利用することで現状を打破しようと試みた。

シーズン3の"Sexual Harassment Panda"では、吸入器を所持しているとカートマンから言及がある。そのためスタンが喘息ぜんそく[注 10]を患っているキャラクター設定が追加されたかに思えたが、以降のエピソードでこの設定は一切登場していない。

以下の実例が示すように、スタンは非常な動物好きである。
 シーズン1の"Big Gay Al's Big Gay Boat Ride"ではをペットにしており、同シーズンの"Volcano"では動物の殺生に反対して、おじであるジンボとの狩猟を拒否する。のちのエピソード"Death"でも、動物の殺生に関する言及をしている[注 11]
 シーズン8の"Douche and Turd"ではやむを得ない事情があったものの、動物愛護団体の会員となる。シーズン6の"Fun with Veal"では子牛の食肉処理を妨害しており、シーズン5の"Osama bin Laden Has Farty Pants"では誤って輸送されたヤギを元の所有者に返却しようと試みた。
 スタンは心から動物を大切にしており、その愛情から来る行動は至って純真なものだが、時に彼の行動が彼自身や彼の友人を窮地に立たせる。シーズン9の"Free Willzyx"では、水族館シャチを他の4年生と共謀して盗みだし、故郷であると信じるへとロケットで打ち上げるためにメキシコ合衆国の航空宇宙局を訪れた。
 シーズン9の"Two Days Before the Day After Tomorrow"では、カートマンとともにボートの操縦を誤り、ビーバー[注 12]のすみかを決壊させる。しかしその際、一目散に逃亡を図るカートマンとは対照的に、スタンは"I hope we didn't hurt any beavers."(ビーバーがケガをしていませんように)と祈る様子を見せた。
 "Fun with Veal"では食肉加工される子牛を哀れんで、一時のみ菜食主義者となる。しかし肉をいっさい摂取しないという行動が架空の病気を引き起こし、生命が危ぶまれたため、スタンはまもなく意志決定を覆す。
 この他にも、"Whale Whores"でイルカおよび鯨を日本人から保護しようと試みている。ただしシーズン3の"Rainforest Shmainforest"では、ヘビに愛情ではなく恐怖心を持っていることが判明する。

"ManBearPig"で描かれたように、スタンは他者への共感力が高い人物である。アル・ゴアの人格的な欠陥を肯定しつつも、スタンは彼に友人がいないのだろうと不憫ふびんに思い、同情心を持つ。しかしながらその同情心はアル・ゴアに利用され、スタンはカイルやカートマン、ケニーとともに洞窟内に閉じ込められ、危うく溺死できししかけた。洞窟から辛々脱出したスタンは、アル・ゴアを突き放して「俺たちに近づくな、クソ野郎! 友達がいないだろうと思って同情したけど、おまえはマンベアピッグを使ってまで他人の注目を集めようとする負け犬だったってだけじゃないか!("Stay away from us, asshole! I only felt sorry for you because you didn't have any friends! But now I know why you don't have any friends! You just use Manbearpig as a way of getting attention for yourself because you're a loser!")」と厳しく非難する。しかしアル・ゴアはスタンの言葉をまるで気に留めず、マントで仮装をしながら映画(実在する映画『不都合な真実[注 13]』の暗喩あんゆ)を制作すると宣言して、その場から去る。
 なおアル・ゴアが原因でスタンおよびその他のキャラクターたちは"Imaginationland, Episode III"で死亡しているが、バターズによって蘇生している。

関係性[]

スタンはサウスパーク小学校に通う男子生徒を先導するキャラクターの1人であるため、顔見知りの生徒は非常に多い。"The List"では教室内で3番目に魅力的な男子生徒と発表された経緯(※ただし真偽は不明)があり、また女生徒との恋愛関係を持った経験のあるキャラクターの1人であるとも言える。
 スタンは多くの生徒から支持を受けており、またそれぞれに親密な関係を築き上げている。たとえば"With Apologies to Jesse Jackson"のエピソードで、彼の父親がクイズ番組で賞金を得たいがために公衆の面前で差別用語を口にした後も、差別の対象者となった友人トールキン・ブラックとの仲を修復するために多大な時間と労力を掛けた。

カイル・ブロフロフスキー[]

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サウスパークシリーズが始まって以来、カイルとは心を通わせ合う良き友人でありつづけている。スタンは主要人物からエキストラキャラクターを含めてとりわけ多くの人物と交流を持つが、"Fantastic Easter Special"のエピソードで見受けられるように、何かしら苦難を乗り越える際にはカイルと協力して解決することが多い。そうでなくとも"Imaginationland, Episode II"のように、カイルとそろって意図せず不遇な状況に追い込まれる場面が多く描かれる。
 スタンはカイルの命を救うために迷いを見せない。そのもっとも顕著な例が"Super Best Friends"である。さらに、「自分が生きている間にカイルが死ぬ様子を見るのは堪えられない」とも主張している。
 また、カイルの名誉や人格を傷つけるような行為は許さず、"Cartmanland"や"Cherokee Hair Tampons"でカートマンを含むキャラクターがカイルに心のない態度を取った際はすかさず間に入り、カイルへの気遣いを見せる様子が描かれた。さらに、カイルがそれと気付かずに自身を不利な状況へ追い込んでいく様子を見る際は、非常に心配するそぶりを見せたり、そばへ寄っていって元気づけたり、カイルへ悪影響を及ぼす物事からあえて注意をそらすように呼び掛けて、不要な悶着もんちゃくを起こさないように気を配っている。

スタンはカイルと常に行動を共にしている。同じく幼なじみであるカートマンやケニーと過ごす時間も多いが、この2人がその場にいない時でさえ、スタンはカイルと遊ぶことが多く、またカイルと2人で過ごす時間をスタン自身が気に入っているようである。これらに加えて、2人はオープニング主題歌中に同じ歌詞を共有しており、友人としての親密さはとりわけ頻繁に描写がなされている。
 しかしながら、2人の仲は常に順風満帆というわけではなく、"Prehistoric Ice Man"をはじめとしてさまざまなエピソードでたびたび関係性の危機に陥っている(その他参照:"Super Best Friends"、"Kenny Dies"、"South Park is Gay!"、"Douche and Turd"、"Follow That Egg"、"Guitar Queer-O"、"You're Getting Old"、"Ass Burgers"、"Truth and Advertising")。大抵は単一エピソード内で仲直りをするが、"South Park is Gay!"、"Douche and Turd"、"You're Getting Old"では関係性を修復できずに物語が終了することがあった。ただし、のちのエピソードやシーズンまでは不仲が継続しておらず、再度仲の良い友人関係に戻っている。
 "Guitar Queer-O"では、2人の友人関係にとりわけ焦点が当てられており、スタンとカイルの仲たがいから生じた出来事によって物語の脚本が大きく展開を見せた。同時に2人の友人関係もかなり深刻な段階まで悪化したが、最終的にはともに困難を乗り越えて友人同士に戻っている。

"The List"でカイルが「もっとも器量が悪い男子生徒」だと見なされた際は、スタンのみそばへ寄っていって励ましと同情の言葉を掛けていた。2人の仲があまりにも親密なため、カートマンには「ホモ(fags)」呼ばわりをされたり、"Super Best Friends"で「いちゃこく用の部屋を予約しなくていいのか?("You wanna get a room so you can make out for a while?")」とからかわれたこともある。
 恋愛関係とは異なるにしても、2人の間に他の友人たちには存在しない特別な絆があることは確かである。たとえば"Imaginationland, Episode III"では、空想世界内にとらわれたスタンの声を唯一聞き取れる人間がカイル・ブロフロフスキーだったのである。

ビデオゲーム[]

South Park: Phone Destroyer[]

脚注[]

出典[]

  1. "FAQ - South Park Studios". southparkstudios.com.
  2. シーズン14の"You Have 0 Friends"にて。
  3. ""South Park" Cartman Gets an Anal Probe (TV Episode 1997)". IMDb.com.

訳注[]

  1. "BASEketball" (言語:en). Wikipedia.
  2. なお彼の親友であるカイルは高い倫理観を持つキャラクターであり、性格に共通点が見られる。(※参考カイル・ブロフロフスキーとの関係性見出し)
  3. "代替医療". Wikipedia.
  4. "10.腎移植#6.腎移植ドナー手術". 一般社団法人 日本腎臓学会.
  5. "原爆・平和". 広島市.
  6. "長崎の原爆". 長崎市 被爆継承課/平和推進課.
  7. "日本への原子爆弾投下". Wikipedia.
  8. "ロバート・オッペンハイマー#水爆反対活動と公職追放". Wikipedia.
  9. "冷笑主義". Wikipedia.
  10. "ぜんそくとはどんな病気?". オムロン.
  11. "Death"で祖父マーヴィン・マーシュに殺人を強要された際に、スタンは「鹿さえ殺せないのに(おじいちゃんを殺すなんて無理だよ)("No, I can't even kill a deer.")」と拒否している。
  12. "ビーバー". Wikipedia.
  13. "不都合な真実". Wikipedia.
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