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Oh my God, they killed Kenny! You bastards!

スタン・マーシュ/カイル・ブロフロフスキー

カイル・ブロフロフスキー(Kyle Broflovski)はサウスパークの主役であり、その他スタン・マーシュエリック・カートマンケニー・マコーミックの主役3人とよく行動を共にしている。共同制作者のマット・ストーンによると、ブロフロフスキー家は町で唯一のユダヤ教家族である。このことはカイルの賢さ同様、エピソード内でしばしば言及される。

背景[]

信仰心[]

カイルはユダヤ教徒である。短編アニメThe Spirit of Christmasの2作目や"Big Gay Al's Big Gay Boat Ride"、さらに"An Elephant Makes Love to a Pigでも言及自体はされていたが、"Mr. Hankey, the Christmas Poo"まで詳細な設定は明かされていなかった。カートマンはユダヤ教徒をからかいの対象としており、時にカイルに向けて直接侮蔑の言葉を吐きつける。

カイルにとって宗教における認識は単純なものではなく、彼は常に自身や家族の信仰心について疑いの目を向けている。たとえば父のジェラルドはヤルムルケ(※ユダヤ教徒の男性がかぶる帽子)を身につけているが、安息日を過ごす描写もなければ、性について厳格である様子もない(マット・ストーンの母親であるシーラ・ストーンもユダヤ教であるが、彼女はセファルディム系のユダヤ教徒だが敬虔な信徒ではないと主張している)。
 カイルはしかし、宗教については無関心であるように振る舞っている。これは町の住人や周囲の友人ほとんどがローマ・カトリック教であるために、宗教の違いで疎外されないように努力している故の行動なのかもしれない。
 カイルは保守的であり、ユダヤ教徒である自身に誇りを持っている。ユダヤ教徒のみが参加可能なボーイ・スカウトを恒例行事としているが、その一方で宗教的歴史や伝統、習慣についての知識が欠如している場面も描写がされている。シーズンを重ねるにつれて知識の乏しさは改善されていったが、原因の一端は彼の両親にあるのではないかと推測もできる。シーラは非常に過保護な母親であり、時に子供の成長を阻害しかねない教育・指導を施している。家族間で宗教についての議論が不足しているために、カイルは年相応の見識を得られていない可能性がある。

関係性[]

幼なじみと時間を過ごすことが多いが、なかでもスタン・マーシュとはとりわけ親密である。気性の荒さゆえに時折、他の生徒から敬遠されることもあるが、スタンと同様にサウスパーク小学校に通う男子生徒を先導するキャラクターの1人であるため、顔見知りの生徒は非常に多い。友人の数のみに言及すれば、幼なじみのスタン、カートマン、ケニーよりも多く、他者ともっとも良好な関係を築いているキャラクターと言える。
 ただし女生徒との交流はあまり得意ではなく、"Clubhouses"ではウェンディ・テスタバーガーの計らいでカイルにキスを迫ったベーベ・スティーブンスに対してかなりの動揺を見せていた。女性との交流および恋愛面においては不器用な所作が目立つが、背景場面でウェンディと話す様子がしばしば描写されることから、女生徒と友人関係を築く一面においては特段問題は見られない。

スタン・マーシュ[]

幼なじみ3人のなかでもカイルにとってスタンは特別な存在であり、エピソード中は互いの横に立つことや、スクールバスで同じ座席に座るなど、親友として常に行動を共にしている。2人は意見がよく合い(この傾向は初期のシーズンが最も顕著であるが、サウスパークシリーズが放送当初はキャラクターの設定が細分化されておらず、スタンとカイルの性格に大きな差異がなかったためである)、また互いに相手を心から気遣う場面が非常に多く描かれてきた。特にエピソード中で難題に直面した際や、悪役キャラクターと立ち向かう際、2人は互いに協力をして問題解決へと懸命に努力をする。幼なじみ同士で仲間割れがある場合に、カイルとスタンは決まって手を組んで、互いに互いを補佐し合う。

スタンとの共通点が多いカイルだが、物事へのこだわりは彼の方がより強い傾向がある。たとえば彼が持ち前の倫理観をもとに不正を追及する心づもりであったとしても、カイルほど強い正義感を持たないスタンはさほど意欲的な態度を見せないことがある。そして同じ真剣さで物事に取り組もうとしないスタンにカイルが不満を見せることで、両者の性格の違いがエピソード中に描かれることがある。
 さらに、性格の差異が起因して、2人の友情に亀裂が入るエピソードが複数存在している("Prehistoric Ice Man"、"Super Best Friends"、"South Park is Gay!"、"Douche and Turd"、"Follow That Egg!"、"Guitar Queer-O"、"You're Getting Old"、"Butterballs"、"I Should Have Never Gone Ziplining"、"Black Friday")。これらのエピソード間では同時に仲直りをしているが、"You're Getting Old"では唯一2人は関係を修復できずに、次話まで不仲が継続して描かれた。
 このようにたびたび友情の危機に陥るカイルとスタンだが、このようなエピソードが制作される理由は、2人の関係性が表面化していない部分で悪化しているからというわけではない。むしろ"Guitar Queer-O"で描かれたように、2人の関係性がいかに強固であるかを示すために対立が描かれている。互いに意見を対立させたり、通常とは異なる立場に身を置くことで、お互いの存在がかけがえのないものであるとカイルたちが理解を深める過程を描く目的が制作側にあるのだ。
 "Guitar Queer-O"では、当エピソードの主役であるスタンは、カイルと家庭用ゲーム機でギターを練習していた。そして高得点を狙うあまりに彼はカイルとの友情よりも別の目的に傾倒していくのだが、最終的には目に見える「得点」よりも、友人であるカイルと何かを成し遂げる喜びの方が自身の人生にとって貴重であり、また彼自身もその喜びを何より求めているのだと気付く(なお、サウスパークはあくまでコメディであるので物語の最後には仲直りをした2人を『ホモ(fags)』と嘲笑ちょうしょうして、エピソード全体を制作側がちゃかす場面が描かれた)。

互いに対する信頼と献身性はシリーズの随所で描かれているが、たとえば"The List"では、スタンのカイルに対する強い友情が脚本を発展させる重要な役割を担った。
 クラスで最も器量が悪い男子生徒であると公然と名指しされたカイルは、人前で名誉を傷つけられた悲しみと怒りで自暴自棄になりつつあった。そのため、親友の気持ちを推し量ったスタンは、女生徒らの作成した人気ランキングの内容を変更するようにウェンディ・テスタバーガーに頼み込んだ(が、最終的にはそもそもの公表結果が改ざんされたものであり、女生徒から最も不人気な男子生徒はカイルではなかったことが明らかとなる)。
 この他にも、スタンとカイルが互いを思い合って相互に助け合う様子は非常に多くのエピソード内で描かれている。"Cherokee Hair Tampons"では、腎不全[注 1]となり健康状態が著しく悪化したカイルのために、スタンは自身の臓器をためらわずに差し出すと主張している。しかしながら彼の臓器には適合性がなく、移植資格を得られなかったため、最終的には移植資格を持ちつつも臓器提供を拒んだカートマンをだますことで秘密裏に臓器を摘出させ、カイルの命を救出した。
 "Imaginationland, Episode III"では、空想世界に閉じ込められたスタンの生命をカイルが救いだそうとする姿が描かれている。架空の存在となったスタンが助けを求める声を唯一聞き取れるのはカイルのみであったため、彼は無我夢中でとっぴな行動に走ってまでスタンを危機的状況から脱出させようと懸命に努力をした。カイルはペンタゴンに押し入って、スタンもろとも空想世界を核攻撃で破壊しようとする政府の計画を中止させた。
 さらにカイルは、"Fantastic Easter Special"内でスタンの命を救うためにイエス・キリストの殺害を決意する。ただしこの殺害はキリスト本人からの要望があった上で、かつカイルにも多大なる葛藤を生んだことは当然である。

相互間の強い絆がはた目にも明らかであるゆえか、2人は身近にいる人物からたびたび嘲笑や冷やかしの対象とされることがある。スタンの父親であるランディ・マーシュからは、あまりにも仲がよすぎると周囲から「奇妙な関係(they are 'funny' = 同性愛者)」だと思われると注意を受けた[注 2]
 また"Super Best Friends"では、カートマンから「いちゃこく用の部屋を予約しなくていいのか?("You wanna get a room so you can make out for a while?")」とからかわれたこともある。なお、この嘲笑に対してスタンとカイルは、カートマンの睾丸こうがんを繰り返し蹴飛ばすことで報復した。

"Sexual Harassment Panda"では、セクシャルハラスメント[注 3]の被害でスタンがカートマンに訴えられる。裁判の際にスタンの隣に座るカイルの姿が確認できることから、彼はスタンの弁護人を務めていた可能性がある。

"You're Getting Old"では、スタンが架空の精神疾患をわずらったために、物事に対して極度に否定的な見方をするようになる。スタンの変化を認めても、カイルは当初なんとか友人としての付き合いを継続させようと努力している。しかしスタンの態度があまりにも気遣いを欠いていたために、周囲の人間にまで悪影響が及ぶことを懸念したカイルは、スタンとの付き合いをついに絶つと決めた。
 完全に別の人間に変わってしまったと見なされたスタンは、カイルとの友情を失った。大抵のエピソードで対立をしても物語の終盤で仲直りするのが常の2人だが、本エピソードにおいてその展開はされなかった。さらに医師の診断によって、スタンの精神的な問題が改善に向かう可能性はまったくないと断定された。
 関係性の修復がなされないまま"You're Getting Old"のエピソードは終了したが、しかし続編となる"Ass Burgers"では、物語の終了間際でカイルとスタンは仲直りを果たした。

スタンを友人として大切に思うほか、カイルがスタンの意思決定に重きを置いている様子が"Crack Baby Athletic Association"でうかがえる。当エピソードでカイルは、コカイン中毒者の母親から生まれた赤ん坊を支援(※実際は金銭的搾取)する団体に加入したが、その際になぜ自身がこの団体に貢献することになったのか、加入経緯と活動意義を過剰なまでにスタンに説明する姿が描かれている。これは自身が所属する団体についてスタンが快く思わないと知っていたため、スタンに失望されることをカイルが非常に恐れていたためと思われる。

ビデオゲーム[]

South Park: Phone Destroyer[]

脚注[]

出典[]

  1. "You Have 0 Friends"でカイルが遊んでいたゲーム画面に誕生日が表示されている。
  2. ""South Park" Cartman Gets an Anal Probe (TV episode 1997)". IMDb.com.

訳注[]

  1. "腎不全". 国立研究開発法人 国立循環器病研究センター.
  2. ランディにことさら悪意があったわけではないが、他者の関係性を邪推して性的指向や思想を断定・示唆する行為は法律上の観点からも好ましいと言えない。"Trapped in the Closet"に登場したトム・クルーズに対する制作側の対応や、サイエントロジーに関する一連の騒動を参照のこと。
  3. 財団法人 人権教育啓発推進センター.“セクシュアル・ハラスメント”.法務省,2010年3月発行,PDF,(参照:2021年7月26日10時9分 UTC)
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